今日の一本 (初恋)

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最近、日本映画ばかり立て続けに4本映画を見たんですが、まずは『初恋』
初恋
解説: 日本犯罪史上最大のミステリーと言われる府中三億円強奪事件を題材に、中原みすずの同名原作を映画化した異色のラブサスペンス。実行犯が18歳の女子高生という大胆不敵な設定の中、迷宮入りとなった事件の真相を主人公自らが語り明かす。原作を読んでヒロイン役を熱望した『NANA』の宮崎あおいが、衝撃的な犯罪ドラマにファンタジックな魅力を添える。歴史の闇に隠れた事件にピュアで切ない初恋の想い出をクロスさせた青春ドラマとしても楽しめる。

ストーリー: 友達も作らず、ひたすら読書をする日々を送る孤独な高校生のみすず(宮崎あおい)は、ある日の放課後、新宿の繁華街へ足を運んでいた。実の兄の亮(宮崎将)をはじめ、個性的な面々が集うジャズ喫茶店Bへ入ったみすずは、生まれて初めて“仲間”という存在に触れ、東大生の岸(小出恵介)に切ない感情を抱き始めるが……。

Yahoo!ムービー より
68年の三億円事件の謎に迫るミステリー、ではありません
まぁそれは、タイトルを見れば明らかなんですが・・・
宣伝では「三億円事件」の部分が強調されすぎている気がしますが。
実際は、68年という、ちょうど学生運動が最も盛んだった頃に、当時充満していた反体制・反権力の空気、さらに時を同じゅうして発生した三億円事件、これらをネタとして、孤独な少女の心の内を描いたものです。
原作は未読だったので、原作者がどういうつもりで三億円事件を取り上げたのか、そして原作で事件の顛末が占めるウェイトがどの程度のものかは分かりませんでした。
映画を見てからそのあたりを知りたくて、慌てて書店で原作を買い求め、読了しましたが、原作でも映画でも、事件はとにかく少女の心模様を描くための「手段」でしかないので、事件の謎解きを期待していると肩透かしを食らいます。というか食らいました。

映画としての見所となるべきところは、いかにあの時代の空気感とストーリーがきっちり絡み合って描きこまれているか、という部分ですが・・・

まず、映像的には昨年公開された『ALWAYS 三丁目の夕日』ほど徹底した作りこみはされていなかったように思いました。
ま、予算が段違いでしょうから、比較しちゃいかんでしょうけれども、道路脇の建物や走っている自動車、塀に貼り付けられたポスターなどで頑張ってはいましたが、路面にペイントされている標識(速度制限の「40」とか)がいかにも現代的で、ちょっと興醒めでした。
「三億円事件の犯人は女子高生だった」という大法螺を吹く訳ですから、それ以外には徹底したリアリティを追及して欲しかった、と思いますが、そもそもその「大法螺」そのものも映画のメイン・テーマじゃない訳ですから、まぁしょうがないですか。

しかし、原作があるとはいえ、この映画の肝がその大法螺の部分に依って立ってることは事実だと思いますね。

  • 宮崎あおいがミニスカート、ノーヘルで長髪をなびかせてバイクで走る
  • 天才大学生が体制に反発する手段として「三億円事件」を計画・実行
  • そしてその三億円事件の実行犯は宮崎あおいだった
  • 女子高生役の宮崎あおいが、白バイ警官のコスプレ

これらのシチュエーションだけでご飯三杯いける!この映画、イケルぞ!と製作サイドが考えたことは想像に難くないです。
ただ、そのシチュエーションを活かしきったわけではなく、むしろ、敢えてこれらの要素をメインから外し、あくまでもメインは主人公の孤独、そしてその孤独が、仲間、とりわけ「岸」という存在を身近に得たことで変化を見せるあたりを描くところにあります。
映画の企画が目指すところと、脚本、ひいては原作の持つストーリーそのものが目指すところのギャップ。
このギャップが、どうにもこの作品を中途半端な状態にしてしまったように思えました。

では、この映画は、救いようの無い駄作なのか、というと、とんでもない

この映画そのものを見るに値するものにしているのは、『宮崎あおい』という若い女優の存在そのものです。
思えばここ数年、堀北真希(「世界の中心で、愛をさけぶ」「逆境ナイン」「ALWAYS 三丁目の夕日」「TRICKトリック -劇場版2-」など)、香椎由宇(「ローレライ」「リンダ リンダ リンダ」など)、沢尻エリカ(「パッチギ!」「SHINOBI」など)といった、同年代の若手女優の豊作状態が続いています(個人的には「超強力ルックスの香椎・いい意味で没個性かつ無難な堀北・役に恵まれている沢尻」と思っています)。
彼女たちの中にあっても、宮崎あおいの「女優」としての力は、際立っています。
所詮、この年代では技巧的な意味での「演技力」などを望むほうが間違いなんですが、技巧的な巧さ以上に、その存在そのもの、表情一つ、佇まい一つが映画を息吹かせている、という点では、もう同年代の他の女優を寄せ付けません。
「そりゃ単にお前の好みのタイプなんじゃ・・・?」というのなら、それは違いまして、やっぱりルックスなら香椎(しつこい)
今、NHKの朝の連続テレビ小説でも主演を張っているようですが、あれを経験した女優はその後必ず伸びている訳で、そりゃ民放の1時間ドラマだと、週に一度、実質1回45分×1クール(3ヶ月)なのが、週に6日、1回15分×半年ですから、一人の人物を演じる期間の長さと競演陣の豪華さ、などは、比較にならないでしょう。
20歳そこそこの現状でこれだけの女優なのが、この先どこまで伸びるのか、実に楽しみですねー。

つまり、宮崎あおいの「スター映画」として、この作品は1,800円を払って見る価値がある作品です。
色んな媒体に出ている監督のインタビューなどを読むと、「彼女なしでは全然違う作品になっていただろう」などと言っていることから、作り手たちもそのことに十分自覚的だったようですね。
むしろ、彼女と並ぶ存在感を持っているべき(いやストーリー展開上は、彼女以上に存在感があってもいい)「岸」役の小出恵介の力の無さにはがっかりです。いや、他の俳優が力不足なのか、それともあまりに宮崎の存在感が際立ち過ぎなのか・・・。
とにかく、今後を嘱望される若手女優の、現時点での「代表作」と言っていいものに出会えたのは幸福でした。

最後に、この種の実話を元にした創作(原作は「実行犯みすずの手記」という形をとっているようです)が、実際「創作」であるということについて。 宮崎あおい自身、この原作を読んで、「これは実話ですか?」と出版元に問い合わせたんだそうですが、はっきりとこれが「創作」である、と原作者が暗示していると思われる部分があります。
三億円事件が起こったのは1968年の年末。東芝府中工場の従業員に配られるその年の冬のボーナスを積んだ現金輸送車が襲われた事件でした。
主人公みすず(宮崎あおい)が、「岸」の後を追うように東大受験し合格したのは翌1969年の入試。
先にも書いたとおり、所謂大学紛争の最盛期であり、こと1968年から69年にかけては、所謂「東大紛争」の真っ只中で、東大史上最初で最後の「入試中止」があったのが1969年。
つまり、東京大学に1969年入学というのは、有り得ない訳です。
最初にも書きましたが、「女子高校生が三億円事件の実行犯」などという奇天烈な話を成立させるためには、その周辺の事象は徹底的にリアルに描き込む必要があります。
原作者も映画製作サイドも、そのあたりは承知しているでしょうから、ここで敢えて時代考証を無視した描写をしているのは、これは「実話」じゃないよ、という、作り手のメッセージだと理解しましたが、さて如何に。

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