今日の一枚 (Believe / PENDRAGON)

裏MotorsportsFlashback。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
イギリスのポンプ・ロック・ムーヴメントについては、今以てその定義を明確に言葉で表現することができません。
尤も、ロックのジャンルに関しては、ジャズやクラシックのように学術的な探求が広く行われている訳ではありませんので、ポンプに限らず、他のジャンルも似たようなものですが。
ただ、そのムーヴメント(もしくはジャンル)に属するバンド名を列挙することで、それらの言葉の定義に代えるというのが一般的でしょう。

で、ポンプ・ロック(水を汲み上げる「PUMP」ではなく、綴りは「POMP」です)というジャンルに属するバンドの代表格として、誰もが挙げるのがMarillionだと思うのですが、凡そその次に名前が出てくるのが、このPENDRAGONです。

80年代、イギリスのロックシーンにパンク~ニューウェーヴの嵐が吹き荒れていた頃、それまでのイギリスのハードロック/ヘヴィ・メタルのフォーマットを踏襲した、全く新世代のバンド群が出てきて、それらを総称してNWOBHM(New Wave Of British Hevy Metal)と呼ぶならわしがあります。(なおNWOBHMについての詳細はこちらのWEBページが詳しいのでご参考までに)
まぁ、時期的に考えても、このNWOBHMの「プログレ版」、つまりオールドウェーヴたる「ハードロック/ヘヴィ・メタル」に対して、ニューウェーヴとしてのNWOBHM、同じくオールドウェーヴたる「プログレッシヴ・ロック」に対するニューウェーヴとしてのポンプ・ロック、と考えるのが簡単でしょう。
ただ、ムーヴメントとしてのNWOBHMと「ポンプ・ロック」が明確に違うのは、NWOBHMが単に「時期的に同じ頃に出てきた新世代ハードロックバンド」に対する総称で、個別のバンドの音がそれぞれ大きく異なるものであるのに対し、ポンプ勢は、そのスタート地点に於いては、各バンドの作り出す音に一定の法則性が見出されていたようです。

一言で言うと、

「ジェネシス・フォロワー」
ということになるんでしょうか。

ここで言うGenesisとは、彼らの初期の傑作『侵入』から、スティーヴ・ハケット脱退直前の『静寂の嵐』あたりまでを指します。
ただ、筆者は個人的には、それらの中でもとりわけ『月影の騎士』『トリック・オブ・ザ・テイル』『静寂の嵐』の三枚を聴くとはっきり感じる音をお手本にしたもの、という風に考えていますが。

ポンプ・ロックを日本語で言うと「華やかなロック」ですが、pompという単語には、「華やか」という意味と同時に、「その華やかさは虚構のものであり見た目だけの虚飾だ」という意味もあります。 オリジネイターたるGenesisが持っているもの以上に「華やかな(一歩間違えるとクサい)メロディ」、とりわけ歌メロのポップさと、本家以上に殊更にシンフォニックに盛り上がるアレンジなどから、このポンプという名称が、半ば自虐的というか、蔑称にも似たニュアンスを持ちつつ使われているとも言われます。
ただ、ムーヴメントのスタート時点では、各バンドの音像が似通ったものであったとしても、以降、年数を重ねて活動していくに伴い、泡沫バンドは淘汰され、結果生き残ってその後長く活動を続けるバンドは、NWOBHMと同様に、それぞれのバンドの個性を際立たせていくことになります。
believe
で、Pendragon。
70年代末期に結成されて以降、20年以上の長きに亘り活動を継続しています。
80年代は、ポンプ・ロックの枠内に収めるには、ちょっと湿り気が無さ過ぎるとも思えるような明るいポップソングも残していますが、90年代以降は
「あぁ、これが彼らの本当にやりたかった音なんだ」
と思えるような、憂いと湿りを帯びつつも、時にポップ、時に大仰な曲作りをしています。
本作もその流れに則ったもので、90年代以降の彼等が好きな人は、何の躊躇も無く購入しても間違いのない、高水準をクリアしたものとなっていますが、これまでと若干音作りの方向性を変えてきているような感じもします。

  1. Believe
  2. No Place For The Innocent
  3. The Wisdom Of Solomon
  4. The Wishing Well - I. For Your Journey
  5. The Wishing Well - II. Sou' By Sou' West
  6. The Wishing Well - III. We Talked
  7. The Wishing Well - IV. Two Roads
  8. Learning Curve
  9. The Edge Of The World
一曲目、アルバム全体のプロローグといえる曲ですが、彼らとしては若干ダークさが強いSEと、物憂げな女性スキャットから始まります。
二曲目は彼らお得意の、キャッチーで明るい強力なポップチューンです。
古くはサードアルバムのKowTowの「Saved By You」あたりから、こういうポップチューンも彼らの特徴で、90年代に入りファンタジック/シンフォニック路線に走ってからもアルバムに一曲はこういうパワーポップとも言える曲が入っています。
三曲目以降、再びダークな感じに戻ります。
どうも、近作にあったファンタジックな風味を薄め、ダークな音使いが目立ちます。
また、使われているサウンドやメロディ、そして女性コーラスなどが、彼らにしては珍しく、ケルト風味をも感じさせます。
「ダーク」と「ケルト風味」は、この作品のコンセプトの一つだったのかな、とも思います。
ただ、アコースティックでシンプルな印象で始まりつつも、途中で楽曲がシンフォニックにどんどん盛り上がっていくあたりは、彼らの真骨頂ともいえましょう。
四曲目から七曲目までは、20分を超える大作組曲。ここでもメロディの良さは健在なれど、若干アコースティックな香りを感じさせてくれます。十年一日のごとく、同じようなメロディアス・シンフォニック・ロックばっかりやっているわけにもいかない、というところでしょうか。
無論、20分以上の大作を、導入~展開~大盛り上がり大会~静かに幕、という見事なアレンジで聴かせ切るのは彼らならではですが。
五曲目は6分程度の、大作とまではいかないものの、これもダークで静かに始まり、ヘヴィに移行、4分過ぎからシンフォニックで大仰なエレキギターのソロを交えつつ、これぞニック・バレット節全開、というような曲展開。アルバム中で最も彼ららしい曲と言えましょう。
王道の五曲目の次の六曲目は、アルバム全体を締めくくるエピローグ。
これも8分程度の曲ですが、静~静~動~静 という楽曲展開で、最後は静かに締めくくられます。

Kinoといい彼らといい、またこのバンドのキーボードを担当しているクライヴ・ノーランのリーダーバンドであるArenaといい、いまやシーンの動静と全く無関係に、自らの個性を際立たせた作品群を地道に(みんな寡作だけどね)リリースし続けるミュージシャン達に幸あれ。

この記事へのコメント
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
http://ryogam.blog4.fc2.com/tb.php/29-e961a88b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

 Copyright © MotorsportsFlashback 弐 All rights reserved. 

 / Template by 無料ブログ テンプレート カスタマイズ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。