プログレ

裏MotorsportsFlashback。
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Rise Of Dark / MIKU,RIN & H@CHUNE featuring VOCALO FAMILY

 オリコンのウィークリーアルバムチャートでベスト10入りしたHMOに続く、ボーカロイドによる、ミュージシャンリスペクトシリーズ?第二弾。
 初音ミク(kbd/vo)、鏡音リン(b/g/vo)、はちゅね(ds)のトリオによるユニット(という設定の、いーえるPによる多重録音ユニット)です。

Rise Of Dark  初音ミク(というより「ボーカロイド」)という発明がアマチュア音楽制作者たち(とりわけ宅録DTM派)にもたらした影響の大きさは、いまや、初音ミクを知らない人たちや、先行しているパブリック・イメージだけを捉えて毛嫌いしている人たちの考え及ばないレベルにまで達している、と言えましょう。

 このユニットの音楽性を一言で言うと、Emerson,Lake & Palmer(EL&P)のコピーです。個々の楽曲の完成度は相当高く、さらに、キーボードのアレンジや音色の選び方における「エマーソン度合い」も、かなりのハイレベルです。
 ただ、どんなにレベルが高くても、こういった種類の、「死に絶えたジャンル」の音楽が日の目を見ることは、2010年を目前に控えた今の日本では、本来は起こり得なかったことで、自費出版に近いインディペンデントでも、こうしてCDをリリースすることができるような状況ではなかった筈です。
 それが、歌の部分にボーカロイドを使った、というだけで、一気にネット、特にニコニコ動画周辺で注目され、ひいてはCDリリースにも結びつくという連鎖を引き起こしている訳です。既にこの現象は最初に例として挙げたHMOで実証されていましたが(あちらはインディーズからスタートして、メジャーデビュー、さらにオリコントップ10入りまでしてしまいました)「プログレ」という、一般的には死滅したと思われているジャンルでこれをやってしまったという、その発想はなかったわ。

 各曲のタイトルを見ると、その頭の悪そうな大袈裟さがまた、EL&Pそのものという感じで笑えます。

  1. 闇の胎動
  2. 私たちのシンフォニー
  3. 混沌の使者
  4. 闇の吼
  5. 再起動
  6. 護る者達
  7. 蘇る世界
  8. メリーゴーランドは止まらない
  9. One and Only Love
  10. Heart Breaker
  11. GravePost~君の居る場所~
  12. スキすきニコCHU!
  13. おまいのハートを舗装してあげる
  14. 逆襲のロードローラー
  15. エピローグ
 1から7は組曲形式、8以降は歌モノのポップチューンです。
 前半を占める組曲は、アレンジがものすごいシンフォニック調。さらに、至る所に顔を出すシンセソロのフレーズがエマーソン節全開で、近年のエマー尊師の作品、たとえばソロアルバムだの、マーク・ボニーラとのコラボのバンド名義の作品だのといったあたりでも、ここまで「エマーソン」を感じさせてくれるものはないというくらいの濃さです。ラグタイムピアノやハモンドの使い方、ムーグ的アナログシンセ風の音色やヤマハの初期のポリシンセ風音色など、やたらエマーソン的な音使いも併せて、EL&P好きが聞くと、いろいろなところでにやにや笑いが止まらなくなること請け合いです。
 もちろんそれだけではなく、ミクやリン・レン、ルカなどのボカロのキャラ設定を活かした(主に歌詞やセリフの面での)お遊びもちゃんと織り込まれており、そのあたりはボカロマニアの人たちへの目配りも忘れていません。
 逆に言うとつまりは、この作品を、作家の意図通り十分に楽しむためには、ELPマニアであり、かつボカロマニアでもあらねばならない、という、考えてみたらえらくハードル高い作品だなおいw、というものでもあります。


Liberator ~解放者~ / Tiny Symphony

解放者 初音ミク(kbd/vo)、鏡音リン(b/g/vo)、はちゅね(ds)のトリオによるユニット(という設定の、いーえるP氏による一人多重録音ユニット)の二枚目のアルバムです。
 ジャケットにはショルダーキーボードを弾くミク、はいいとして、そのバックにはナイフが刺さったオルガン、と、今回もトばしていますww。
 音のほうですが、前作で超絶エマーソンっぷりを見せつけ、今回もさぞや・・・と思いきや、今作は意外にも短い楽曲を揃えてきました。短い曲とはいえ、しょっぱなの曲のバッハの使い方など、ニヤニヤさせられっぱなしなんですがね。
 基本的に、今回はミクを初めとして、鏡音一家ルカがくっぽいどメグッポイドなどの各ボーカロイドに、それぞれ独自のキャラ設定を活かしたポップな楽曲(とはいえ、バックのインストは相変わらずハモンドぐりぐり、ムーグぎゅわぎゅわ、な感じだったり)を歌わせるという『歌モノ』的な趣向です。

 ここで言う「独自のキャラ設定」というのは、コンピュータ・ソフトウェア製品としてのボーカロイドが世に出された時にソフト制作サイドが設定したもの以外に、ネット上で後々にユーザーやファンによって付加され、それが定着したものも含みます。
 この、
「ネット上で後々にユーザーやファンによって付加され、それが定着したもの」
 これこそが、このボーカロイドブームの根幹を成す重要要素なんだろうな、という気がします。
 たとえば、初音ミクがなぜネギを持っているのか、などといったことは、もともと、ソフトウェア制作サイドが作った設定には欠片もありません。これなどはユーザーやファンといったネットコミュニティ住民たちが寄ってたかって後付けで作って定着させた設定ですが、今となっては商業ベースに乗って発売されるフィギュアなどでも「ミクがネギを持っている」というのは当たり前のことになっています。
 初音ミクの開発・発売元であるクリプトン・フューチャー・メディアが、二次創作を含めて、そういう部分に寛容な姿勢を崩さなかったことが、ネットコミュニティに多く存在する音楽を作ったりイラストを描いたりする人たちに広く受け入れられ、まさにWEB2.0を象徴するかのようなブームを惹起したと言えるのではないでしょうか。

  1. 解放者 (inc.Toccata And Fugue, J.S.Bach)
  2. レトロスペクト feat.初音ミク
  3. 刻印 feat.巡音ルカ
  4. チャールストン・ドリーム feat.初音ミク
  5. 偽りのエゴイスト feat.がくっぽいど
  6. ロケット☆ブースター feat.メグッポイド
  7. 音像サナトリウム feat.初音ミク
  8. 深紅の月 feat.初音ミク・鏡音リン
  9. おまいのハートを舗装してあげるッ! feat.鏡音リン ~ Bonus Track (U-ji Remix)
 6.や7.みたいに、単なるテクノポップじゃん!みたいなのもありますが、ポップで小粒な作品ばかりだと思ったら突然8.みたいなエマーソン節が全開の曲も出てきますのでご安心を。なんかラブビーチ聴いてたらとつぜんキャナリオが流れてきて我に返る、みたいな。
 二枚目にしてラブビーチ化かよ、という突っ込みはなしでw

 なお、二枚ともに現時点では流通ルートが限られており、目白にあるプログレッシヴ・ロック専門店のWORLD DISQUE、その他メロンブックスやらとらのあななどで販売委託を受けているようです。
 さらに、2009年12月29日(火)~31日(木)に東京・有明の東京ビッグサイトで開催される、お馴染み世界最大の同人即売会コミックマーケット77、通称「冬コミ」でも、HMverses6.9なるサークルが販売委託を受けて現地ブースで販売するようです。
 また、コミケ会場と目白WORLD DISQUE委託販売分に限って、Official Bootleg ~ Pictures At TinySymphonic Worldと銘打った小冊子がオマケでついてきますが、この中身がまたEL&Pが好きな人たちの琴線に触れるようなイラストが多く収録されています。

 まぁ、この作品によだれが出てくるようなまっとうな大人世代(まっとうな?)なら、無難に目白で買いましょうねぇ。

 折しもELP再結成のニュースが世を騒がせている(?)今日この頃ですが、エマー尊師も見苦しく太った豚なぞにヴォーカルを任せるのではなく、いっそボーカロイドを使っての新作などいかがでしょうか、とか。ははは。

Tinysymphony HMverses6.9

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タグ : Tiny_Symphony いーえるP プログレ ボーカロイド 初音ミク CGM キース・エマーソン

 まぁ、何回目だよ、という気もしないでもないですが。
 マイミクaさんのblogで知りました。

エマーソン、レイク&パーマーが再結成!2010年7月に復活ライヴを開催

(CDJounal.com)


 公式サイトにも。
Stop Press

(Emerson Lake & Palmer 公式サイト)

 要するに、来年7月26日(日)に「High Voltage Festival」なるクラシックロックのイヴェントがロンドンで行われ、そのヘッドライナーとして再結成したEL&Pが出演する、みたいな。

1970年にワイト島でEL&Pがベールを脱いでから40年の節目の年に復活、と騒いでいますが、パウエル時代を含めて三度目の再結成。この人たちだけは年を重ねても性格はぜんぜん丸くなってないっぽいので、どうせ長続きしないだろうけど。ていうか、イヴェントのための一夜だけの再結成なら、それも問題ないのか。

 ただ、公式サイトのニュース記事にも名前が出ているClassic Rock Magazineのサイトで彼らの名前を検索すると、今年の夏のカールのインタビュー記事が出てきて、その中で
「キースは35分から40分以上のセットリストになると演奏できないよ」
とか言ってるんですが…
 その記事のタイトルが「キース・エマーソンはウェンブリースタジアム級のサイズのエゴの持ち主だよwww」というのがおもろい。いや「www」はついてないですけど意訳とゆーことで。

 エマー尊師の前回の来日(彼の名前のバンドでの来日)は見に行き損ねましたが、その前の来日では感涙にむせび泣いた身でどうこう言うのもあれですが、手の手術以降、完全体への復活はもう望むべくもないのかと思うと、「無理スンナ」といいたくもなります>エマー尊師。

 いや、もし長続きしてくれれば、うまくすれば来日も…とか考えてしまいますし、もし駄目でも、新作は出してくれないかな…とか。
そのカールのインタビュー記事の中でも、キースとグレッグが一緒に曲作りその他やっている、とか書いてあるし。

 さて、どうなることやら。

 Soe'sという新しいバンドが広島で初ライヴを行なったのを見に行きました。
 音楽は、いわゆるロック系のインプロ。ただ、そこにマリンバが加わることで、フリージャズやアヴァンギャルド・ロックの世界に、現音の風が吹き込んだものになります。
 中心となっているのは梶山シュウさん。偶然にも家の近所のショットバーの飲み友達二人がそれぞれにシュウさんとかかわりがあって、その二人のおかげでもったいなくもマイミクにしてもらったり、先日はライヴ会場でお話する機会をもつこともできました。吉祥寺でのキキオンライヴでお見かけして以来のファンとしては感激しきり。

 で、そのシュウさん、キキオンのサポートやら、先日、伝説のギタリスト石間秀樹(ex.フラワートラベリンバンド)広島公演での演奏などを見聞きする限りでは、その独特な声と変幻自在のフレットレスベースを駆使し、若干ロック寄りながらもユニークな無国籍音楽を追求している人、というイメージがあったんですが、mixi日記や公式サイトなどを読むと、どうやらインプロが大好きなようで。そういえば前述の石間さんのライヴでも、最後に二人でやっていたセッションは完全なインプロでしたなぁ。

 ライヴは、安佐南区民文化センターという公共の施設で行なわれました。この建物はまぁ公民館にホール設備をつけたような感じのものですが、ライヴはそのホールではなく、施設入り口のロビーのようなところで行なわれました。そういう設備面の問題もあり、また、ユニットとしての初お披露目だったということもあり、無料だったのはうれしいところです。
 内容的には、作曲されたもの4割、インプロ6割とおっしゃっていましたが、曲によっては完全なインプロであろうと思われるものも。ライヴの中でシュウさん自身が、
「100%インプロオンリーだと、集まったお客さんを満足させられるだけのものを演るためにはかなりの技量が必要」
と言っていましたが、いずれは100%インプロだけで勝負できるユニットになりたい、という秘めた意思を感じさせましたね。

 メンバーのうち、梶山シュウさんについては、改めて書きません。ライヴでも他のメンバーに対する仕掛けが一番多かったのはシュウさんでした。このユニットの首謀者であることは間違いないでしょう。
 サックスの藤井さんという人は、主に広島のジャズシーンで名前が知られている人のようですが、HFMというJFM系列の広島のFM局でパーソナリティなども勤めているなど、結構多角的に活動されているようです。ラジオのパーソナリティをやってるってことは、しゃべりもいけるんでしょうが、今回はしゃべりに関してはほとんどシュウさんが一人でやっていましたね。ジャズ系の人ということで、インプロに関してはこちらもかなりの引き出しをお持ちのようで、シュウさんとのやり取りは楽しめました。ただ、これは二人ともに言えますが、まだお互い遠慮があるのか、例えて言うなら、シュウさんも藤井さんも手足を振り回して暴れてはいるんですが、どこか冷静に、振り回した手が誤って相手に当たってしまわないように気を遣いながら暴れている、というか、横目で相手が暴れているのを冷静に見ながら暴れているというか。
 いや潰しあいをしろとかいうんではなく、もっとこう、横目なんかで見なくても、相手に手が当たらない範囲を体が覚えていて、好き放題暴れても相手に当たらないというか。それこそがまぁつまりは、ユニットとしての熟成度が高まるということなんでしょうか。
 二人目のベース、木元さん。このユニット、ツインベースなんですね。シュウさんの構想が、最終的にどういうものを目指しているのかわかっていない上で書きますが、この日のライヴでのツインベースは、一人が黙々とリズムキープに徹し、もう一人はその上で自由奔放に動き回る、という形でした。この点はちょっと残念というか、まぁこっちの勝手な思い込みっちゃそうなんですが、というのもこのイベント自体、『変拍子と即興』を謳っていただけに、インプロと同じくらい重要なテーマとして『変拍子』が挙げられていた訳ですが、ベース二人による変拍子というと、ダブル・トリオ時代のクリムゾンにおけるトレイ・ガンとトニー・レヴィンの二人による高密度な絡みが思い起こされて、ああいった、ベーシストAとベーシストBがそれぞれ全く異なるリズムを奏でつつ、全体を通して聞くとそれが複雑に絡み合い、曲として成立している、というようなものを想像していただけにね。まぁそういうことをやろうとすると、かなりアレンジを詰めないといけないわけで、相対的にインプロの比率が下がってしまいかねませんから、それはそれで困るというか。
 で、この木元さんという人は、実はシュウさんの教え子らしいんですが、そのあたりの力関係も微妙に作用しているのか、シュウさんと藤井さんのやりとりをひたすらボトムから支えていて、自分から仕掛けるところがあまり見受けられなかったのが、傍で見ている分にはちーと気の毒ではありました。まぁ年齢的にも若いし、インプロ主体の音楽っていうと、センスやテクニックはもちろんのこと、それに加えて「経験」が大きくモノを言うだけに、力関係云々を別にしても年齢的に一番若い木元さんが不利になるのは、やむを得ないかもですが。
 で、マリンバ担当の荻原さん。ぐぐってみたら、普段は広島ウインドオーケストラという広島で一番大きな吹奏楽団で活動されているほか、パーカッションアンサンブルやピアノとパーカッションのデュオなど、打楽器をメインにした音楽を色々探求されているようです。基本的にクラシックの人なんで、インプロという部分に於いては四人の中では一番不利な気もしますし、実際、木元さんのベースが形作る土台の上でシュウさんと藤井さんが暴れまわり、荻原さんのマリンバがその周囲を飾り立てていく、というのが、少なくとも今回はこのユニットの基本形であったように思えます。とはいえ、その「装飾」をマリンバという楽器でやっているところこそがこのユニットをユニークたらしめている由縁でもありまして、最初に書いたように、ロックやジャズだけでなく、現代音楽的な理知というか、毛並みのよさというか、やっぱクラシックやってる人は違うねぇというか、そういう色をこのユニットに与えているだけに、重要な役どころではあります。今後荻原さんがそれこそ経験を積んで、シュウさんと藤井さんの両者と対等に絡み始めたら、それはそれで面白いことになりそうですが。

 先にも書きましたが、会場について。
 これは意図してわざとやったことなのかどうなのかわかりませんが、前述のとおり、公民館のようなところでやる地域密着型音楽イベント、という形だったため、聴く側が、なんというか、かなり特殊な状況でした。
 具体的には、客席の半分以上が地元のおじいさん、おばあさん。公民館でやるサロンコンサートということで、生涯学習の一環としてメモ帳片手の高齢者、とかそういう感じの人がいたり、かと思えば小学校高学年のお姉ちゃんと低学年の弟を連れたお母さんとか。つまりおおよそこの種の音楽を聴きに来る人たちとは(一般的に言って)層が違うというかなんというか。
 いや、お年寄りがROVOを聴いたって良いぢゃあねぇか、とか、二人の子持ちのお母さんがアルタード・ステイツを聴いたって良いぢゃあねぇか、とか、小学生のおにゃのこがジョン・ゾーンのペインキラーを聴いたって良いじゃあねぇか(←良くない)とかいう意見もあるでしょうが。
 っていうのも、いわゆるインプロ主体のライヴって、場の空気でどんどん音楽が変化(発展もしくは破壊)されていくものなんですね。
 これまでにも、聴衆に緊張を強いるかのようなハードなセッションや、逆に心地良いゆったり感を与えてくれるようなセッション、さらには、思わず声を出して笑ってしまいそうになるほど楽しげなセッション、それらを混ぜ合わせたセッションを体験してきました。そしてそういった「場の空気」は、もちろん演奏者の間にあるものなんですが、一方で客席の醸し出す部分もそれなりに影響していると思うんです。聴衆の思い上がりかもしれませんが。
 で、そういう観点からこのSoe'sのライヴを顧みると、客席側からステージへのレスポンスという点で、明らかにこう、何か欠けがあったというか。聴衆がこの種の音に馴れていないということもあって、楽しみ方というか聴き方がわからず戸惑ってしまっていたというか。演奏者側にしてみれば暖簾に腕押しだったのではないか、と。
 まぁそのあたりは演奏者側もある程度考慮済みで、『局面即興』と称して、客席から任意に人を選んで、その人たちに音階を指定してもらい、それらの音階だけを使ったインプロをやる、という、ある種参加型ゲームのような手段で客席を巻き込んだやり方で、この時だけは客席に一様に緊張感が漂ったような気がしました。
 とはいえ一時間のライヴの中の10分にも満たない時間の話であって、やっぱりこのユニットのお披露目として、果たしてああいう場がふさわしかったのかどうか、というと、これは疑問に思わざるを得ません。ライヴの中でシュウさん自身、
「我々メンバーはそれぞれプロの演奏家として他で活動する一方で、こういう(フリー・インプロなどという)お金にならない音楽をやって楽しんでいる」
・・・と、多少の自虐も交えていわれていましたが、ここ広島という街における梶山シュウという人の知名度を考えると、金を取って市内のライヴハウスなどでやっても十分に人も集まったであろうし、そのほうがよりよいものになったように思えてなりません。単に俺が不自然に感じただけかしらね。

2月11日(日)三軒茶屋グレープフルーツムーン
る*しろう2ndアルバム『3.27830』発売記念ライブ

1月に大阪の実家へ顔見せに帰った際、いくつかのCDを買いだめしましたが、その中でも今日までiPodでヘヴィ・ローテーションになっているのが、る*しろうが昨年末にリリースした2ndアルバム『3.27830』。
ここでレビューを書こうと思いながら、書くために聴き始めるとそのまま聴き込んでしまってなかなか書くところまでいかない、と・・・
でレコ発ライヴは11日(日)。日曜日ということで諦めていたんですが、よくカレンダーを見たら月曜が祝日!しかも2月の勤務を確認すると、10日(土)から12日(月)まで、暦どおりの休みが!

こ、これは、レコ発に行くしかないのでは!!!

ということで行って来ました東京。
当日は18時30分に開場、19時開演予定だったので、18時過ぎに三軒茶屋到着。三茶へ行くと必ず立ち寄る、東京で唯一の盛岡じゃじゃ麺が食べられる店、じゃじゃおいけんに寄りたかったんですがちょっと時間がない。泣く泣く今回は諦めて、直行でグレープフルーツムーンへ。
既に地下の入り口にできた行列の最後尾がビルの敷地をはみ出して道路に達しているのを見て、「しまった遅かったか?」と思ったものの、冷静に人数を数えてみると、まだ20人も並んでないのを確認。ああよかった。
5分程度押して開場。場内は前に椅子席、後ろがスタンディングでしたが、そういう状況だったので楽々で椅子席をゲット。これが判断の誤りだったことに気付くのは後になってから。
ステージにはドラムセットが2つセッティングされています。
客席から見て左手はシンプルなセットで、多分これはハコ備え付けのセットでしょう。そして右手には、スタンドとラックで組まれた、ひときわデカイセットが。。。(後に菅沼さんの持ち込みのセットだと判明)。これはつまりツインドラムでの展開もあり得るという訳で、ゲスト参加でTaiquiさんの名前が出ていることからも、(0゚・∀・)ワクワクテカテカ

ライヴは、おなじみとなった「裏る*し」からスタート。ちなみに今回の編成は、ギター:美也子姫、ドラム:井筒さん、ピアノ:菅沼さんでした。
そのあと、Djamraのステージが開始。
る*しろうとDjamraは、互いに相手のことを「兄弟バンド」と呼び合うほど仲が良く、互いのライヴに対バンとして呼び合うような関係になって既に3年になるらしく、その状況を詠った歌からスタート。やはり今回、る*しろうのイベントということで、彼らはいわばビジター。厳しい状況であればこそ、場をさらってやろうという関西文化圏特有の芸人根性が垣間見えるMCなども交えつつのステージは、相変わらずお遊び部分は徹底的に遊び、シリアスな部分は徹底してシリアスに決める、ハイパーテクニカルジャズロックを聴かせてくれました。
る*しろうのサイトのBBSでは、美也子姫自らの紹介文で相変わらず「変態」と形容されていますが、いやだから全然変態ぢゃない!楽曲・テク・ステージングとも、到ってまっとうな「カッコいい」ジャズロックでした。

2番手は日比谷カタン。こちらはまあま紛うことなき変態でしょう。座って生ギターを弾きながら歌うだけなのに、歌とMCと生ギター一本で、ハコの中の空気を完全に独自のシアトリカルな世界に変えてしまうあたりは毎度ながらお見事としか言いようがありません。
今回はMCでヲタ系のネタを交えつつ(えぇプログレヲタはヲタの一ジャンルとして確立してしまっていますよね言うまでも無く'`,、('∀`) '`,、)

そして真打として登場の、本日の主役、る*しろう!
さっき書いたように、まだアルバムレビューも書いていなかったのと、今回、レコ発ライヴということで、ニューアルバムに収録されている曲がほぼ網羅されていることから、アルバムレビューも兼ねて各曲についてつらつらと書いていきます。

魅惑のハワイ旅行
いきなり最初から飛ばしまくります。サウンドはヘヴィに、演奏は緻密に、シャウトは高らかに!近年ハードコアトリオなどで喉を鍛えている金澤さんのシャウトは勿論、井筒さん・菅沼さんの、普段おとなしい人がやけっぱちになったかのようなシャウトも凄みがあります。
この曲に限らず、アルバムヴァージョンでは幾分静かな部分もあって、静と動のバランスが取れているんですが、ライヴではひたすら力で押して押して押しまくり、結果的にベースレスのトリオとは思えない重量感溢れるヘヴィロックに仕上がっています。
ニューアルバムのジャケットにも描かれており、今回のアルバムのテーマとも言える「犬」。これもヘヴィかつアグレッシヴ、井筒さんのソロはそこいらのグランジやメタルバンドかと思うくらいヘヴィで、しかもそれらのバンドが尻尾を巻いて逃げ出すくらいテクニカルにビシビシ暴れます。
日曜の昼間にドアを叩いて起こさないで(略してノック)
一昨年の山口県徳山でのライヴで初めて聴いた曲ですが、なんでも、とある日曜の昼下がり、井筒さんが部屋で寝ていたら、訪問販売が扉をノックして、折角寝ていたのに起こされたことに対する怒りを込めて作られた曲だとかなんとか。
菅沼さんのバスドラによるノックの音からスタートするアレンジはアルバムと同様。菅沼さんのドラムがパワフルかつ手数も多くうねりまくります。
ヌマザパ組曲(ヌマザパ~ヌマザパII)
ニューアルバムには、ファーストに収録されていた「ヌマザパ」の続編もしくは変奏曲とも言える「ヌマザパII」が収録されています。今回のライヴでは「ヌマザパ」と「ヌマザパII」の合体ヴァージョンでしたが、このヌマザパ、なんと全部で7曲の構想があるらしく、いずれは「ヌマザパ」だけでライヴができるかも、とか行ってました(;´Д`)
細かいピアノのフレーズに続いて井筒さんが奏でるギターと、いつもよりフリーな菅沼さん。珍しく金澤さんがリズムキーパーとしてバンドを統率するなか、ギターとドラムが暴れまわります。
る*クスチャー
ニューアルバム中のハイライトとも言える楽曲。
最初に聴いたのは新宿ライヴ・フリークだったか?それからも曲は磨きこまれて、ニューアルバムでは、彼ららしくアレンジに工夫が凝らされた、大変面白いものになっています。
ただ、これを改めてライヴで・・・となると難しいんじゃ?と。
はい。俺が悪かったです。ちょっとでもそんな疑いを持った俺が悪うございました。
アルバム以上にドライヴ感がアップし、凝った構成の楽曲にも関らず、ノリ一発的な勢いも大いに感じさせる素晴らしいものになっています。
冒頭のラップ、アルバムを聴いた限りでは誰の声なのか、いや井筒さんじゃないから多分菅沼さんかな、とは思っていましたが、声を変えているせいもあり、なかなか菅沼さんだと断定できなかったのに、やっぱり菅沼さんでした。
ちょっと軽めのピアノとギターのフレーズに乗っかったその菅沼ラップに続いて金澤さんのヴォーカルがいつになく抑え気味で普通のジャズヴォーカルみたいな・・・と案の定途中で姫の声がデス声に変化します。
と思ったら、デスシャウトの直後、人数の少ないマグマというか脱力した高円寺百景というか、とにかく明らかに聴いていて3人だけが歌っているとわかるコーラスが続きます。
そういえばファーストアルバムは吉田達也プロデュースでした。そう思って聴くと、そういえば明らかに吉田達也色が色濃く出ていると分かる部分がそこここに見られたんですが、セカンドはバンドのセルフ・プロデュースで、吉田色はほとんど感じられません。そんな中で、この曲だけは特にコーラスワークが吉田達也的で、近年高円寺百景などで吉田達也近辺で活躍している美也子姫としては、やっぱり影響受けてるのかなあと。
ヘビダンス
ニューアルバムの中では一番プログレ展開が強いの曲。途中フリーっぽいところが混じるのがいかにもる*しろう的ですが、人を食ったようなタイトルは出だしのギターとピアノの高速ユニゾンで奏でられるインドっぽいメロディからでしょうか。笑いを取る曲のようでいて、途中からどんどん展開がシリアスになっていくところが、このバンドの懐の深さというか引き出しの多さというか。
そして今回のライヴでは、アイン・ソフ(旧・天地創造)の現ドラマー、Taiquiさんが参加して、ダブルドラムで演奏されました。
日本におけるカンタベリーミュージックのトップグループとして認識されているアイン・ソフですが、バンドの歴史の中で断続的に訪れる活動休止期間があまりにも長いこと、近年はライヴこそ行なわれるものの、特に新作を出すわけでもないこと、などから、関西シーンに於いても、所謂「懐メロバンド」としての存在価値しか持ち得ない筈が、どうしてどうして、ライヴで見ると現役なんですね。でなければポセイドンも今年のメキシコのBajaに送り込もうなんて考えないでしょうし(なにしろ同行するのが内核の波ですぜ)。で、そう感じさせる最大の功労者はメンバー中最若(っつっても既に40台後半の筈)のTaiquiさんの強烈なドラミングによるところが大きいのではないかと。以前KBBとのジョイントを見た時も、実質バンドを仕切っていると思われるキーボードの藤川さん以上にステージでバンドを引っ張っていたのがTaiquiさんでしたから。
そんなTaiquiさんと菅沼さんの強烈なツイン・ドラム。音こそデカイものの、見た目とは裏腹にかなりかっちりしたリズムでバンドを底支えしている普段の菅沼さんのドラミングですが、煽り煽られ、もの凄いことに。Taiquiさんがハコ備え付けのドラムセットだったのが残念ですが、あの狭いグレープフルーツムーンで、音圧もテクニックも高い二人のドラムを間近で見られたという、まさに至福の一時でした。
寂れた街
井筒さんのペンによるこの曲は、かつて賑わっていた地元・徳山の商店街が、帰郷してみたら寂れたシャッター街になっていた、という情景を描いた曲だそうですがね。
アルバムではそのコンセプトのとおり、寂しさを感じさせるギターのリフとクラシカルなピアノのフレーズが延々と繰り返される静かな曲ですが、ライヴではリズムこそオリジナルに忠実に大人し目ですが、ギターは結構好き放題に動き回ります。うーんなんかシャッター街の侘しさとかいうよりも、明け方の歌舞伎町みたいな、外から見たら人も少なくて侘しいけど扉一枚向こうは毒々しく騒々しい夜の延長の世界が、というイメージに。
-アンコール (1)-
94k2(串カツ)
アンコールでは、ニューアルバムから演奏していない最後の曲。浪速音楽シーンとの濃密な交流から生まれたwらしいんですが、大阪ネイティヴの俺に言わせれば、立ち飲み系串カツなんて、いわゆる大衆食だし、食べたからってこんな曲ができてしまうような素晴らしいもんじゃないと思うんだけど、まぁそれはそれです。
アルバムでは寸劇めいた導入部を持っているんですが、ライヴではDjamraのメンバーが寸劇を担当し、ステージと客席の間の狭っくるしいところに車座に座り、妄想宴会を繰り広げていました。
最後、トマトと牡蠣のコーラスのところでは、客席に手拍子を求めていましたが、変拍子叩きにくいし!まああの狭いグレープフルーツムーンに来る客層ですから、いづれもニューアルバム聴きこんでから来た筋金入りの連中ばっかりで、問題ないか。
時間もかなり押しているようで、この演奏で大団円となり終了するか、と思われましたが。。。
-アンコール (2)-
ヲーリーすーる
グレープフルーツムーンのスタッフに延長の可否を確認したあと、大ラスにはファーストアルバムからの、ライヴの定番曲であるヲーリーすーる。
これは中来田さんがベースで、そしてTaiquiさんがドラムで、カタンさんがコーラス??で参加し、本日のオールスターキャストにより、大盛り上がりで終了。
ファーストアルバムは、吉田達也という外部プロデューサーにより、かなり冷静にバンドの持つ多彩な魅力を意図的に強めたものだったのに対して、今回の新作アルバムは、バンドによるセルフプロデュースということもあり、本来の「やりたい放題」な部分がより強められたものになっているように感じますが、ライヴでもそういった部分が出ていて、かなりヘヴィでハードコアっぽい部分が強くなりつつあるな、と。
ただ、どんなにハードコアっぽくなっても、笑いの精神を決して忘れない。そしてやりたいことをやっているんだから楽しいんだ、という、演奏する側が感じる「楽しさ」が感じられるところが、単に「怒り」をテーマにした凡百のハードコアバンドとは違うところでしょう。
このニューアルバムのレコーディングもあり、昨年は結局、山口県への里帰りライヴは実現されませんでしたが、この4月には再び徳山にる*しろうが戻ってきます(前回の徳山ライヴの模様はこちら)。平日なのがちょっとアレですが、なるべく休みを取って、見に行きたいな。

何度かこのblogでも取り上げたこともあるアストゥーリアスですが、本当にメジャーデビュー(正確には大昔にアルバムがキングレコードから発売されていたので「再デビュー」と言うのが正しい)しちまいました!
バンド名も「アコースティック」を接頭語としてつけて、「ACOUSTIC ASTURIAS」というのが正式名称になっているようです。まあ普段「アコアス」と呼ぶことが多かったし、この呼び方がしっくり来ますかね。エレクトリックなアストゥーリアスも秋のポセイドンフェスで限定復活したみたいだし。
前回こちらのエントリでも書きましたが、
(前略)今後出るであろう新作(なんかメジャーレーベルから出すとか息巻いています、いや息巻いてはいないですが、本当に出るんだろうな、をい)が実に楽しみになります。
これは今年の7月15日に沼袋のライヴハウスで行なわれたプログレイベントのステージにアストゥーリアスが立った際に(いや立っていたのはヴァイオリンの伊藤さんとクラリネットのかおりんの二人で、あとの二人は座っていましたね、って屁理屈言うんじゃない!)リーダーの大山曜さんが
「アルバムのほうも、なんとかメジャーレーベルからのリリースができそうで・・・」
と言ったことを書いていたんですが。
まさか、メジャーもメジャー、大メジャー、あの浜崎あゆみや倖田來未や大塚愛やELT(決してELPではない)と同じディストリビューター、avexからのリリースですよ。
このページなどを見ると、「大人のためのエイベックス」と銘打たれていたりと、avexの中でも比較的マニアックなミュージシャンが揃っている「avex io」というレーベルからのリリースのようです。そういえば今年の夏ごろにあの渋さ知らズがavexからメジャーデビューを果たしており、これもびっくりしたんですが、よく見ると渋さ知らズも同じく「avex io」からのリリースなんですねこれが。他にも吉田美奈子だの松本晃彦(『踊る大捜査線』シリーズの音楽作ってる人)だの林英哲(鬼太鼓座創設メンバーの一人)だの谷村新司だのといった面々が名を連ねるレーベルです。

ということで、
「avexからのリリースなら、もしかしたら広島でも発売日に買えるかも(0゚・∀・)ワクワク テカテカ」
と、11月8日、仕事が休みなのをいいことに、ダイヤモンドシティソレイユの中にあるフタバ図書TERAに行ってみました。 敢えてタワーレコードではなくポピュラリティの高い品揃えしかしていないであろうフタバに行ったのは、avexリリースという「正の要素」と、ジャンルが邦プログレであるという「負の要素」のどっちが勝つか世紀の対決を見届けるためですね(「負」は言いすぎだろ「負」は!)。 で、いざCDショップに到着して足を踏み入れる段になって、はたと考え込むことに。果たして今のアストゥーリアスの音楽性からすると、どのコーナーに置いてあるんだろう・・・?
普通に考えて「日本のプログレ」かな。いやそんな変なコーナーがあるわけねえだろ、タワーの広島にだってないぞそんなの。
それじゃ・・えーと「日本のジャズ」かな。いやいくらなんでもジャズじゃないよな・・・と思いつつ一応ジャズコーナーを見るが、やっぱり置いていない。
あ、イージーリスニングじゃあないか?そういやポール・モーリアも氏んだことだし、イージーリスニングというジャンルが今再び注目されてるから、まさにタイミングとしてはいい時期に氏んで・・・じゃなかった、いい時期にアストゥーリアスの新作が出たってことかあ!(不謹慎)・・・てことでイージーリスニングのコーナーを探すも、コーナー自体がありません。そういえばイージーリスニングっていうのは15年ほど前に「ニューエイジ」っていう呼び名に変わったんだった、とニューエイジの棚に向かうも、やっぱり置いてない。その隣がクラシックのコーナーだったのでそっちも探してみたけれど、やっぱりない。
うーんこれは・・・avexだのメジャーだの言っても、やっぱり広島じゃ置いてないのかあ・・・とがっかりしつつも、一応聞いてみようと思って、店員の若い女性を探す(いや別に若い女性じゃなくてもいいだろ)。

俺「あのー、今日発売のアストゥーリアスの新作ありますか?」
若い女性店員「はい?」
俺「アスト・・・じゃあないや。アコースティック・アストゥーリアスです。avexからの発売で・・・」
若い女性店員「あ、はいはい。ありますよ、こちらどうぞ・・・」
俺「(すげ!やっぱり店員さんはプロだな)」と、ついて歩く。連れて行かれたのは・・・
若い女性店員「はい、こちらですね」と辿り着いたのは「J-POP」のコーナー!
俺「(じ、J-POPかよアストゥーリアスがwしかもアコースティック編成でwww)おぉあった、さすがavexだ」

ということで、正と負の戦いは、見事に正が勝利を収めました。パチパチ

Marching Grass On The Hill

  1. WATARIDORI
  2. Marching Grass on the Hill
  3. 紅江
  4. Waterfall
  5. Classic Medley
  6. Coral Reef
  7. 神の摂理に挑む者たち
  8. Bloodstained Roses
  9. Rogus
  10. Luminous Flower
  11. Adolescencia
  12. Woman of Ireland
CDの帯には「超絶技巧アコースティック・ヒーリングミュージック」という矛盾しているような気がしないでもないたたき文句が打たれており、ジャケットデザインもなんか牧歌的でありながら不気味さをも感じされる、素晴らしくプログレっぽいものになっています。
クレジットされているメンバーはヴァイオリンに夏から参加の伊藤恭子さん、クラリネット他リコーダー等がかおりんこと筒井香織さん。光速運指の超絶技巧ピアニスト川越好博さん、そしてギターが大山ヨウ様。つまり夏の沼袋のライヴと同じですが、あくまでもこれは現メンバーということで、実際のレコーディングは、基本的にみさりんこと北辻みささんがヴァイオリンを弾いているようですね。
ライヴよりレコーディング重視の北辻さんらしく、楽曲本来の持つキャラを活かしきった非の打ち所の無いパーフェクトな演奏を聞かせてくれます。ライヴでのみさりんは、どの曲を演るときも、聴く側にまで極限の緊張感を強いるようなテンションの高さがあるんですが、レコーディングでは見事に曲のキャラに合わせてそのテンションをコントロールしていますねえ。

以下、各曲ごとにぐだぐだと感想を・・・
一曲目は最近のライヴでもよく演奏されていた曲で、川越さんの穏やかなピアノによる導入に始まり、四人による、比較的穏やかですがそれなりに緩急のあるアンサンブルが続く曲。チェンバーロックというより、むしろ「ロック」が外れた「チェンバー・ミュージック」そのものでありながらも、メロディラインといくつかのブレイクが大山ミュージックを強く感じさせる、メジャーデビューアルバムの一曲目に「名刺代わり」として(適度に)一発カマすのには最適と思えるものです。
二曲目、NTT東日本のLモード(あーそんなのあったよね!懐かし!てか死規格だな、都電はE電!とかと同じ、いやちょっと違うか)のCMソングとして30秒の曲として作ったもので、彼ら(というか旧アストゥーリアス時代)の代表曲の一つ『Ryu-Hyo(流氷)』をイメージさせる穏やかな「癒し系」と呼ぶに相応しいメロディ、この序盤のメロディがCMに使われた部分ですが、これがライヴの度にどんどん長くなり、所謂プログレ色が強まっていった結果がこのアルバムに収録されているヴァージョンです。俺個人としては、この曲はアコアスのベストチューンですから、これがアルバム収録されたことが一番嬉しいですねえ
三曲目、「べにこう」と読みます。これは吉祥寺スターパインズカフェでの、北辻・藤本のヴァイオリニストのダブルキャストでのライヴのときにはヴァイオリンとピアノだけのデュオで聞かせてくれた曲ですが、なんと今回びっくりのヴォーカルチューン。さすがにメジャーレーベルからのリリースということで、一曲くらいヴォーカル入りもなくちゃ!みたいなことをヨウさまが書いていますがね、それならもうちょっとこう、一般的に知名度の高い人を使ってるのかと思ったら同じゲーム音楽村(もしくはアニソン村)の住民いとうかなこですかそうでつか。
四曲目は沼袋のプログレ祭でも演った曲。かなり速い曲で、生ヴァイオリンもクラリネットも、温かみのある穏やかな音を出す楽器、というイメージとは正反対の、スピーディかつクールで実にかっこいい演奏を聴かせてくれます。ヴォーカルチューンとか入れて一般受けを狙うのはいいですが、こんな曲を堂々と収録してちゃ努力が無駄になるというか、これこそがファンの求めるものではあるんですが。とにかくかっこいいです。まさにチェンバーロックで、これをチェンバーロックと言わずして何をチェンバーロックというんだ、という。
五曲目はクラシックの名曲を繋げたメドレー。かなり笑えるアレンジに仕上がっています。このままライヴで聴いたら手を叩いて笑うところですか。去年の夏に大阪で見た高円寺百景の「クラシック・メドレー」を思い出しましたよ。クラシックのカバーとしてはアレに匹敵する「バンドの持つ特色を活かしきった選曲とアレンジ」ですよこれ。いや生来「生真面目」が服着てステージでギター弾いてるような大山さんが、果たして聴く側に「笑い」を期待したのかどうか甚だ怪しいところではありますが、もう実に彼ららしいアレンジと選曲に、俺は勝手に大笑いしています。ちなみにここでもメジャーレーベル発売を意識したのか、今年の2月に荒川静香で一躍有名になったプッチーニの『トゥーランドット』で締め括られます。
六曲目は、ちょっとした箸休めともいうような穏やかな曲です。この曲などを聴くと、「癒し系プログレ」という呼び方もむべなるかな、という気がします。なによりもかおりんの息継(ry
    _, ,_  パーン
 ( ‘д‘)
  ⊂彡☆))Д´)
七曲目は、かつて「Tempters of Providence」とも呼ばれていた、これもライヴではお馴染みの名曲で、かおりんのクラリネットとみさりんのヴァイオリンによるダークでハードなフレーズの応酬はこのアルバムの白眉です。
八曲目は多分俺はライヴでも聞いたことがない曲。ある意味アストゥーリアスの世界観とちょっと離れた、かなりヴァラエティに富んだアレンジで飽きさせませんが、逆にアレンジの楽しさで聞かせるだけで、楽曲本来の持つパワー的にはこのアルバム中で一番弱いという印象。
九曲目は、キング時代の旧アストゥーリアスの代表曲の一つでもあるローガス。名曲ですがこれをアコースティック編成用にアレンジするのはかなり難産だったようで、彼らのサイトにある過去のレポート群を読むと、この形になるまでにかなり四苦八苦した様子が窺い知れます。とはいえ、出来上がったのは見事なまでにアコースティックでありながらロックしており、これも国産チェンバーロックの代表的楽曲の一つと言っていいでしょう。
十曲目は、吉祥寺スターパインズカフェでのライヴでもアイリッシュ・ハープの坂上真清を加えて演奏された曲。今回アルバムにも参加し、アイリッシュ・ハープの独特の音色を聞かせてくれます。楽曲も坂上さんをフィーチャーし、かなりケルト色の強いものになっています。
十一曲目は、前作ミニ・アルバム『Bird Eyes View』一曲目に収録されていた、アコアスの代名詞とも言える名曲。今回、新録した訳ではなさそうですが、新たにミックスダウンし直し、メジャーレーベルから再度世に問う、といった感じでしょうか。いや名曲だわこれは何度聴いても。新ミックスは、やっぱり名のあるエンジニアがやったからか、若干音の奥行きが深まった感じがします。
最後の曲は、またまたケルト色が強いというか、100%ケルティック・トラッドです。ゲーソンの女王いとうかなこが再度参加し、スキャットを聞かせますが、これだけはヨウ様の「ほれ、こんなんもやろうと思えばできます」的なものを感じるのは俺だけかね?まあボーナス・トラックみたいなものと思いましょう。

とまあ、既発曲・未発表曲・新曲を交えた60分超のフルレンス・アルバム。ライヴを見るたびに新作アルバムが待ち遠しかったファンにとっては、砂漠のオアシス状態ですね。えぇ、iPod nanoに入れて聴きまくりですよ。また晩秋の寒空に合うんですよこれが。レコ発ライヴも行きたかったなあ。レコ発ツアーってことで広島に来ねぇかなあ。来ねぇだろぅなあ。あああ。てか来てくだちいおながいしますm(_ _)m

<追>
一部、某所よりのご要請に基づき表現を削除及び改変しますた。

以前、ヴァイオリニストキョウコさんのblogにコメントした時にも書いたんですが、今回の上京は23日のKBBと15日のポチャカイテ・マルコアストゥーリアスの公演と、どっちを狙って行くか、最後まで悩んでいました。
で、決め手となったのが、15日のライヴだと、翌16日のERA@西荻窪音や金時も見られる、という点。
久々の三連休(しかも暦どおり)ということで、往復の新幹線は混み混みでした。
その混んでいる新幹線(当然、広島始発のを狙い、自由席をキープ)の中でも、まだ自分の下した決定が良かったのかどうか判断つきかねる状態。
いやそれどころか、初日のアストゥーリアスとポチャを見てもまだ、自分の選択が正しかったのかどうか・・・
いや、プログレ・オールスターが駄目イベントだったとかいうのではありません。むしろポチャなんて、4人によるポチャライヴとしてはトップクラスの出来だったと思います。でもやっぱり海外遠征を成功させて「ノっている」今のKBBを見たかった、ということです。今のKBBはそれほどまでに魅力的だ、と。
しかしながら、16日のERAを見て、そういう煩悩はぶっとびました。
正直、今の壺井さんにとって、彼自身のリーダーバンドであるKBBが、創作力というかクリエイティビティの向かう先としては一番プライオリティが高いんだろうな、とは思います。
ポチャはあくまでも荻野さんと桑原さんの二人がメインで、壺井さんはそのプレイアビリティを見込まれての参加でしょうし、AUSIAはKBB、ポチャと比して、決して活動が盛んだとはいえません。Kirche、Rivendellといったバンドは、あくまでもゲスト参加に過ぎないでしょう。
そんな中で、彼にとってのERAとは、どういう位置づけなのか・・・なんてことは、実はどうでもいいんです。

少なくとも、今の俺にとって、壺井さんの絡むプロジェクト群で一番好きなのはERAだ、と。

今回はERAにとって3枚目のアルバム『Three Colors of the Sky』の発売に合わせた、所謂「レコ発」ライヴでした。
既に新曲は過去のステージでも一端が披露されており、クオリティの高さはある程度保障されていたので、聴く方としても楽しみで、ついつい早めに西荻窪へ到着してしまいました。

というか開場時間間違えたよ。17時30分かと思ったら、18時30分開場かよ。

・・・ということで、久しぶりの西荻窪を散策。っても蒸し暑くって、そんなにうろうろできませんでしたが。
前日にポチャのライヴを見ていたためか、
西荻窪 音や金時へ
この看板の「岩盤浴 LAVA」が、彼らのセカンド・アルバムのタイトルチューン「LAYA」(←※クリックすると怪しい音楽が流れます注意)に見えますた(゚∀゚)ってどんな岩盤浴サロンだよ!
ちなみに「音や金時」は、この写真では路地の向かって右側、手前から米屋さん、マンションとあって、その次の建物(小さい電飾がちょっとだけ写ってます)の地下ですが。

時間になったので音や金時へ。
席は前から二列目のテーブルを確保しましたが、続々と人が入ってきます。
ERAのライヴとしては人が多いんじゃないのかな、と思って、暫くして後ろを見てみたら、演奏開始時間には既に椅子は全部埋まっており、最後列には立ち見客までが。
レコ発という題目があるためでしょうか?ともかく、それでもまだ三々五々入ってくる人がいるため、遂には最前列に「補助椅子」みたいなのを出していました。

ライヴそのものは二部構成。このあたりもERAライヴとしてはかなり本格的。
いつもは、ギターとバイオリン、そして必要最小限のアンプ類を小さい小屋へ持って行って、しゃかりきに演奏してさくっと帰る、みたいな感じですが。
ERA
第一部は鬼怒さん(gtr)・壺井さん(vln)のデュオによる旧作、新作取り混ぜてのセットリストでしたが、特に新作の楽曲はどれも出来がいい。過去二作品と相対的に比べても、ERAらしい豊かなメロディによる癒し効果と、鬼怒無月壺井彰久の二人によるデュオなればこその凄まじい緊張感がもたらす精神的鍛錬効果(80年代のロバート・フリップなら「聴衆にディシプリンを強いる」とでも言ったかな)。この二つが入れ替わり立ち替わり襲い掛かってくる独特の感覚は、新曲群ではより際立っていたように思います。
現在、鬼怒さんと壺井さんは二人とも並行して多くのバンドやプロジェクトに関っていますが、そんな中でも、このERAでしかできないこと、ERAならではの個性とも言うべきもの、を、二人が探り当てたのではないか、とも感じました。
言うまでもなくアルバムでもライヴでも、ERAは基本的にヴァイオリンとギターのデュオなんですが、ある程度の多重録音が施されているアルバムより、さらにシェイプアップされた、最小限の編成による、素のERAを堪能できました。
で、感じたのは、やっぱりこの二人は基本的にロックなんですね。
使っている楽器が生ギターとヴァイオリンであっても、ジャズっぽい要素があっても、トラッドっぽい素朴な美メロがあっても、基本ロックというか。
まあ、その部分こそが、ERAのERAたる部分でもある訳ですが、それを目の前で見て聴いて、さらに実感しました。

そんな第一部とは打って変わって、第二部は、ちょっとお祭り的要素が加わります。
まず、ゲストとしてアコーディオンの佐藤芳明さんが加わり、トリオになります。
三人
中央線系ミュージシャンとしては例外的にクールなルックスの持ち主、佐藤さんが加わり、鬼怒・壺井のボケ・突っ込みのMC合戦にも、クールな一言を言い放つ佐藤さんが絶妙のアクセントになり、なんとも楽しいライヴでした。
は、激し過ぎる・・・
無論、演奏が始まれば三人とも打って変わって真剣になります。
鬼怒さんのギターは、カッティングが主体で、リズムレスの編成で、壺井さんとゲストの佐藤さんの二人をソリストとして立てる感じでやっていましたが、佐藤さんもかなりパーカッシヴな演奏が多く、間近で見ているとかなりの迫力でした。
鬼怒&佐藤

そういえば第二部の開始前、着物を着たそそっかしそうな人が会場に入ってきたな・・・と思ってよく見たら一噌幸弘さんでした。ってか別によく見ないでも、そんな風体で、しかも見るからに笛が沢山はいっていそうなケースを抱えて中央線界隈をうろついている人はこの人しかいないわけで。

というわけで、第二部が終了したあと、アンコールというか、第三部では当然一噌さんが飛び入り参加。
さらに一噌さん参戦
まさに中央線系ミュージックシーンを代表する、超個性派ソリスト4人による、狂乱の一大セッションが繰り広げられます。
あまりにもセッションが暴走したため、佐藤さんなどは叫びながらアコーディオンをぺしぺし叩いていました。
壺井さんも鬼怒さんも実に楽しそうで、聴いている方も演奏している方も、心の底から楽しめたんではないかと思います。
あまりにも強力!
いや、KBBも行きたかったですよ、特に事後のレポートなどを読むと。
でも、このERAを見られたお陰で、「KBBを見なかったこと」への後悔は、幾分緩和されたように感じる今日この頃です。

アコースティック編成(といっても実際はピアノはプラグドだし、他の楽器もアンプを通していましたがね)のアストゥーリアスに続いて、ポチャカイテ・マルコ登場です。
新作が出るわけでもないので、新曲もあるわけじゃない・・・と思ってたんですが、新曲が結構聴けました。
いや、東京から離れて一年、何度かライヴを聴きに戻ってはいるものの、観戦件数が減ったため、単に曲を知らないだけで、実は新曲でもなんでもなかったりして・・・

一番おもしろそうだったのは、bassの桑原重和さんのペンによる、『関節リウマチ』w
MCがまた面白くて、

7月15日(土)から三日に亘り、プログレ・オールスターズなるイベントが、沼袋のサンクチュアリというライヴハウスで行なわれました。
俺が行ったのは15日、「Outer Progressive」と名づけられた日。
出演は、Pochakaite Malko(ポチャカイテ・マルコ)Asturias(アストゥーリアス)。←※リンク先は音がでます注意!ってかほんとはリンクはこっちのほうがいいかも。

実は、このイベントに行くか、それとも7/23の初台DoorsでのKBBの凱旋公演に行くか、悩んでたんですが、翌日のERAも見られるという点と、もう一つ、久々にアストゥーリアス、しかも新メンバーのお披露目があるということで、この週末を選んだわけです。

アコースティック編成のアストゥーリアスが活動するきっかけになったともいえる、ヴァイオリンの北辻みささんですが、こちらにあるとおり、正式に脱退となったようで、個人的には残念なことです。
北辻さんと、ピンチヒッター役の藤本さんが競演することになった吉祥寺SPCでのライヴについては、このblogでも以前に取り上げましたが、残念ながら藤本さんと北辻さんのプレイヤーとしての力量差をまざまざと見せ付けられたものになり、結果として藤本入りアストゥーリアスへの興味が徐々に無くなるきっかけにもなったものでした。
そのエントリにも書いたとおり、バンドという形態をとっていたとしても、あくまでもアストゥーリアスはリーダーでもある大山曜さんのユニットであることから、よほど人前に出せないようなミュージシャンでも起用しない限りは、一人のプレイヤーが変わったくらいでは、音楽性や魅力が激変するものでもないんですね。
事実、藤本入りアストゥーリアスも、『大山プロジェクト』として必要にして十分以上の魅力は持っていたんでしょうが、如何せん、北辻さんのプレイヤーとしての力量が、あまりにも桁外れだったのが、俺にとってはよろしくなかったようで。

そんな訳で、北辻さんの処遇について明言されないまま、藤本入りアストゥーリアスが海外や国内でライヴを重ねているのを横目に見ながらも、徐々にこのバンドへの興味が薄れていくのを寂しく感じていたのが、ここへきて北辻さん脱退と藤本さんの代打終了が公式にアナウンスされたのを知り、新しいヴァイオリニストを加えたこのバンドがどのような変化を見せるのか、というよりも、自分自身のアストゥーリアスへのリハビリ(←大袈裟)のつもりで見に行ったという感じでした。

結論から言うと、新しいヴァイオリニスト、伊藤恭子さん。

今回は写真は無しです。
一応カメラは一眼とコンデジを持っていってたんですが、東京のライヴハウスは厳しいしー。
前の山口は、場所が山口ということもあって、地理的に見に来られない東京近郊在住の推定数千人の る*しろう ファンのためのレポートというつもりで、写真を多く使ってみたわけで・・・
もちろん、当日、一応撮影許可はとっていますが。

でも、今回は東京での公演だし、そんな必要も無いかと思いました。
まあカメラないほうが音楽を心から楽しめるのも事実ですしね。

と・こ・ろ・が!

この決心が、あとで後悔を産むことに・・・

まあそれはともかく。
高円寺駅に着いたのが19時ジャスト。うわー、前の席取れないかな~?と思いつつ、高円寺純情商店街を走り抜けてペンギンハウスへ。
途中のauショップで、バーバパパのスタンプをGETしましたが、近日中にauを解約する気満々の身としては、ちょっと後ろめたいような。
ペンギンハウスの入り口に着いて、階段を降りると、幸い、まだお客さんは殆ど来てませんでした。
店内で井筒さんと美也子さんにご挨拶したあと、ワンドリンクは梅酒ロックを注文。
ライヴが終わったら吉祥寺で飲むつもりなので、酒は控えめにしました。
ぼちぼちお客さんも集まってきたところで、井筒さんに、strange music pageの主催者、けいさんを紹介されました。(プログレ系サイトの主催者なんて、みんなおっさんばっかりだと思ってたら、明らかに私より若い人だったのでちょっとびっくりというかショックで・・・俺もオサーンになったもんだ)
あと、初台DOORSの社長もいらしてまして、ご挨拶させていただきました。(単なるファンの客なんで、どう挨拶したらいいものか迷いましたが、とりあえず「いつもいいライヴを見せてもらってまして」とかなんとか)
まあ、路地裏企画ということで、ほとんどがバンドの人と顔見知りみたいな感じでしたね。
こんなアットホームな雰囲気もいいものです。
ただ、ほとんどが常連か顔見知りみたいな中、席の間を歩く美也子さんが妙に恐縮してるなーと思ったら、姫は今回腰痛に悩まされていたそうで、ああ腰が低いっつうか、腰に振動与えないための姿勢だったのかー。

そしてライヴ開始。

感動未だ覚めやらぬ、エマー尊師ことキース・エマーソン様の来日公演。
15日の東京公演のセットリストは以下の通りでした。
  1. Welcome Back
  2. Toccata (Rock Piano Concerto)
  3. Living Sin
  4. Bitches Crystal
  5. Hoedown
  6. Country Pie
  7. Static
  8. The Karelia Suite
  9. Piano Solo
  10. Touch And Go
  11. Lucky Man
  12. America~Rondo
  13. Tarkus
    +++++encore(1)+++++
  14. Black Dog
  15. Fanfare For The Common Man
    +++++++encore(2)+++++++
  16. Honky Tonk Train Blues
開場16:30、開演予定は17:00。広島出発予定は10時だったんですが、広島発毎時00分の「のぞみ」は、実は広島が始発という事実を学習してしまったせいで、
「00分発なら、指定席じゃなくても間違いなく座れる (゚д゚)ウマー」
で、指定席を事前に買わないと、ズルズルと出発準備も遅れ・・・
で、結局、出発は12時ジャスト。
このままだと東京着は16時過ぎ。東京駅16時で新宿厚生年金17時、ってギリギリじゃん!
当初、新宿駅から、ユニオンプログレ館などを冷やかしつつフラフラ歩いて行こうと思ってたんですが、予定変更。
冷やかしどころか、普通に歩いても新宿から厚生年金まで20分くらいかかるし。
のぞみの中で、PCに仕込んであった地図ソフトを見ながら、厚生年金会館の最寄り駅を調べる。
新宿三丁目か新宿御苑のどっちが近いか調べて、どうやら新宿御苑駅のほうが近そう。
ということで、東京駅でJRを下車し、丸ノ内線に乗り換えて新宿御苑駅で下車。この時点で約5分前。
多分定刻に始まるこたぁないだろうとは思いつつも、念のため下車してから厚生年金まで小走りに走ったため、暑い。狭い席に着いても汗が微妙に止まりません。とほほ。

結局、10分ほど遅れて開演(だったと思います)。
客電が落ちて、いよいよ尊師登場。ぉぉーいきなり「悪の経典」のWelcome Back My Friend~のバックの、例の細かいシーケンスフレーズが・・・
あれ?なぜか涙が。なんでだよ、再結成EL&Pでも聴いただろ・・・ライヴ盤やブート盤で嫌というほど聴いただろ・・・

そのときだけじゃない。Hoedownのイントロでも涙が。
涙だけじゃなく、カレリア組曲が流れてきたら脳にジンジンと痺れを感じ、Touch And Goでは一気に学生時代に時間を引き戻され、すっかりお馴染みのAmerica~Rondoメドレーでは全身にアドレナリン放出。
とどめはタルカス全曲演奏。しかも紳士淑女版と同様、最後に「Epitaph」の一節を挟み込むという出血大サービス。
本編が終わったあと、おざなりのアンコールではなく、心の底から「もういっぺん出てきて下さいお願いします」という気持ちを込めてのアンコール。

ほどなくバンドが出てきたと思ったら、突然ZepのBlack Dogをやり始めたのには驚いたけど、Black Dogのエンディングから間髪を置かずに、例のファンファーレが。あれ、また視界が微妙に曇ってきた・・・。

というわけで、泣いたり興奮したり忙しいライヴも、あっというまに終了。
正直「海賊」とか「ナットロッカー」を大ラスに持ってきてもよかったように思いますが、二回目のアンコールでHonky Tonk Train Bluesをやるあたり、このコンサートがEL&Pではなく

「キース・エマーソンとそのバンドによるコンサート」
であることを象徴していたように感じました。

Picture / KINO

KINO/Picture
It Bitesの旧作が紙ジャケで再発されるという情報に基づき、It Bites貯金をしていたんですが、あっけなく発売延期→発売未定になってしまいました orz
てなわけで、かわりにと言ったら何ですが、前回の上京時に、前から気になっていたIt Bitesのメンバーも参加しているKINOのアルバムを購入しました。
間に合わせというか埋め草に購入したつもりだったんですが、これ、実にいいです。
ドイツ語で「映画」を意味するバンド名の彼ら、メンバーは、It Bitesのジョン・ベック(key)、ジョン・ウェットンのバックでギターを弾き、Arenaのギタリストでもあるジョン・ミッチェル(vo/g)。ベースはMarillionのピート・トレワヴァス、ドラムはPorcupine Treeのクリス・マイトランド。
で、ツアーではドラムがIt BitesのBob Daltonに変わっています。
いわば、ポンプロックムーブメント以降の英国プログレ系バンドのメンバーの組み合わせをいろいろ変えてできたバンドですね。

音の方もまさにそんな感じで、彼らの持ち味である歌メロの耳障りの良さと、80年代的な音作り。
あ、80年代的といっても、80年代に流行していた音(例えばパワー・ステーション系のオーバープロデュースな音とか)ではなく、「80年代に時代遅れと嗤われていた音」とでも言いますか。
要するにASIAとか、GTRとかのイメージですね。
メロディの良さではASIAが近いような気もします。ヴォーカルのジョン・ミッチェルも、ある部分ではウェットンにそっくりです。
ただ、ASIAが持っていた、ある種の臭さがない。脂ぎっていない。
ASIAのあのくどさ、臭さは、多分にジェフ・ダウンズの作るメロディとアレンジ、キーボードの音色などに因る部分が大きかったと思うんですが、KINOのキーボードのジョン・ベックは、It Bitesを聴けば分かるとおり、もっとトニー・バンクス的ていうか、Genesis的な「純イギリス的」な湿っぽさを持っています。
その湿っぽさ、曇り空のイメージがアルバム全体を覆っていますね。

情景に例えていうなら、だだっ広い野原(荒野というよりも野原)、映画『ブレイブハート』にでも出てきそうな野原ですね。で、空は厚い雲に覆われて、風は少々強めに吹いている。
そんな中でメンバーが誰も聴く人がいないのに、プレイしている。
事実、彼らは時代に完全に取り残された人たちな訳ですが。

曲によってはものすごっくポップなんですが(というか大半がポップかな)、古臭いイギリスのロックの持つ、突き抜けられない穏やかなポップさ加減が、この季節、自転車で川べりを走りながら聴くのに実に適しています。
多分、これが国内発売された春先や夏に、これを買って聴いても、ここまでストライクじゃなかったかもですね。
この秋の愛聴盤の一枚です。

・・・で、It Bitesの紙ジャケは、いつ出るんでしょうかね。。。

る*しろう

二番手は、る*しろう。
2月の新宿Live Freak以来。
美也子姫は、この前の大阪の高円寺百景で見ましたが。
姫は今回は頭の右側で髪を一つに束ねていました。
今回もかぶりつきで、場所的には前回の大阪の百景と同じく、姫のドまん前。相変わらず美(ry

いや姫のレビューではなくてライヴのレビューでしたな。ははは。

出てきたかと思ったら、美也子さんはドラムセットに陣取り、菅沼さんギター、井筒さんピアノ・・・。

裏る*しろう type2 キタ━━━━━━m9(゚∀゚ )━━━━━━!!!!

この夏、百景でヨッシーとの活動期間が多かったせいか、美也子さんはヨッシーばりに叩きながら意味不明の歌を歌い、井筒さんはやけくそっぽいピアノ片手弾き。菅沼さんが一番普通ぽかったかな。
いやーしょっぱなから飛ばすねー(・∀・)イイヨイイヨ-

ポチャ同様、時間が限られているせいか、アルバムの曲を繋げて凄まじい勢いで弾き倒し・叩き倒し。
今宵のる*し は、いつもよりジャズ風味を強くしてお送りしておりまーす・・・みたいな。
前に見た新宿Live Freakの時は、すごくヘヴィロック風だったのが、今回はすごくジャズ。
ただ、単にジャズでは終わらないのもこのバンドの素敵なところ。
姫はすげーいい声でジャズ・ボーカルをはじめたと思ったら、「ナンデコーナルノー」という叫びと共にハードコアへ転換。いつものことながら、このブレ幅の大きさってば、ほんと彼女の最大の魅力ですねえ。
ブレ幅といえば井筒さんすごく真面目そうにジャズギター弾いてたと思ったらら突然フィードバックノイズ。生真面目な人が捨て鉢になったら怖ゎーいぞ、って。
菅沼さんは相変わらず大きな体を駆使して大魔神ドラム(なんだそりゃ)。でも、この人が底を支えてなかったらこのバンド、どうなることやら。
曲間に美也子さんが「かっちりしたバンドに挟まれた、ユルユルのバンドで・・・」みたいなことを言っていましたが、確かに徹頭徹尾(アドリブのように聴こえる部分もほぼ全部)譜面化されているポチャと、メカニカルでテクニカルなMSNに挟まれて、この自由奔放豪放磊落な、る*しろうの変態ミュージックは異彩を放っていたとも言えるかも。
ま、変態は変態なんですけどね。ポチャもる*しも、愛すべき変態。
特に今回のる*しろう、本当に楽しそう。汗水垂らして肉体労働しているポチャや、渋面でクールなステージングのMSNの両バンドとは、確かに対照的でした。
ステージを見ながら、こちらも自然と笑顔になっていました(←うーんよく考えたらニヤついてるってことか。キモイ)。
11月に山口に来るっていうんで、中国地方在住者としては万難を排して迎え撃つ所存。山陽道が先日の台風で一部通行止めですから、中国道で行くぞ、っと。
晩秋の山口で楽しいライヴを見られることを期待しつつ。

Pochakaite Malko

ポチャカイテ・マルコのライヴは3月のシルエレ以来。あの時はファンタスマゴリアとのカップリング(というか実質的にあっちが前座)でしたけど、今回は3バンドの対バンで、あろうことか一番最初にポチャが登場です。
3バンドということで、1つあたりの持ち時間が短いということもあってか、飛ばす飛ばす。
あの超絶技巧複雑怪奇な曲が多数収録されているセカンドアルバムからの曲を、メドレー形式でインターバルなしに立て続けにドバッと一気に
それで疲れたのか、いつもの荻野さんと壷井さんのおとぼけ(グダグダ)MCの掛け合いも殆ど無し。
(余談ですが、壷井さんのMCは、相方があるほうが冴えます。荻野さんであれ鬼怒さんであれ。)
壷井さんのエフェクターの数も、ずいぶん控え目でした。やっぱりセッティングと撤収の時間を考えると、極力シンプルにせざるを得なかったというところでしょうかね。

前回のシルエレの時もそうでしたが、今回も特に感じたのは、ポチャの音楽って、基本的に豪華なんですよね。
だから、今回のようにシンプルな4ピースバンドでそれをライヴで再現するのは、無理がある。
今まで見たポチャのライヴは4回ですが、江古田でやった通称『壷井祭』(KBBとポチャの対バン)の時は、鬼怒さんや美也子さんがゲストで参戦してました。
同じく江古田でやったセカンドアルバムのレコ発LIVEの時は、ドラムの立岩さんのコネで参加していたアラブ系音楽のパーカッションの人たち(なんでもその道の大家らしいっす)や、ベリーダンスのアルミステルミスの参加などもありました。
どちらもお祭り的な色彩の濃いイベントということもあって、多くのゲスト参加があり、音のほうもそれだけ豪華で厚くなっており、音を重ねたスタジオ版に劣らないものが聴けました。
しかしながら、正規メンバーの4人だけになると、どれだけ彼らがハイテクで一人当たりの音数が極端に多くても(w、スタジオ版ポチャの持つ音数を再現するのは困難でしょう。

そんなわけで今回のライヴは(シルエレの時同様)かなりロックバンド的な色彩が濃いものになっていました。
ベースの桑原さんもジェスロ・タルのツアーTシャツ着てましたし(関係ねーか)、今回のポチャはストレートなロックで勝負、という感じでしたね。
そうは言っても、何も知らない人が聞くと「こんなロックバンドあるかよ」みたいな音なんですけどね。
はっきり言って、今回のライヴに備えてiPodでセカンドを聴きまくっていた身からすれば、そんな訳で曲数・音数(w、変態度(w的には、ちょっと食い足りないところもありましたが、それでもスタンディングで変拍子に合わせてかぶりつきで頭を振るのは楽しかったなあ。
立って聴くプログレは桜庭統以来でしたが、あの時は単に疲れただけでいい思い出はないんですけど、立って踊って聴くポチャは意外と体育会系でよかったなあ。

とりあえず、彼らに関しては、ワンマンで見たい。腹いっぱい堪能したい。広島に来てください!・・・って無理でつかそうでつか。

高円寺百景だけでおなかいっぱいになりつつある状況で、バンド交代のための機材セッティングの時間、しばしの休憩を挟み、おもむろにバックステージからタブラのよーな太鼓を叩きながらヨッシーが登場。さきほど髪を振り乱して「ニセ久保田安紀」になっていた津山のおっさんは、フルートを吹きながら登場。髪は後ろで束ねていました。
妙に太ったイアン・アンダーソン
ところが山本さんのセッティングが一向に終わらない。延々とエフェクターをいじっている。
ところがセッティングのためのノイズが、いつの間にか演奏に変化。おいおい。
・・・いかにもルインズ波止場らしい始まり方でしたね。
津山さんはフルートをイアン・アンダーソンばりにフラミンゴ奏法で吹き鳴らしたり、ヨッシーはピアノを弾いたり。山本さんはギターでノイズを出しながらローランドのアナログシンセ?でエフェクト音を出したり。
もう何を書けというのか。

ルインズ波止場と言えば、インプロヴァイゼイションの合間に唐突にアレアの「7月、8月、9月、黒」とかイエスの「危機」の馬鹿っぽいコピーを挟み込むという荒業を見せるバンドですが、今回は特にそちら方面の新ネタはなかったようで、ステージのラストに彼らのアルバムにも収録されている「セックス・マシーン」(ジェイムス・ブラウン)と「太陽と戦慄Part2」(キング・クリムゾン)の同時演奏をやっていました。
セックスマシーン in アスピック
このときだけ、ナスノ・鬼怒の是巨人組がゲストで加わっていましたが、こうなるともはや「ルインズ波止場」ではなく、「是波止場」もしくは「たそがれ巨人」ですな。
当然のことながら、是巨人側が「太陽と戦慄」、たそがれ波止場が「セックス・マシーン」を担当していましたが、鬼怒さんが終始笑いながら「太陽と戦慄」のフレーズを弾いていたのが印象的でした。
先日のデヴィッド・クロスとのジョイントライヴでは「緊張しますねぇ・・・天覧試合みたいで」と言って硬い表情でひたすら弾いていたのとは見事に対照的でした。

再びインターバルを挟んで、是巨人登場。
この日も彼らは絶好調。セカンドアルバム『アラベスク』からの曲を中心に、クロスとのライヴの前半でも聞かせてくれた新曲も交えつつ、ほとんどMCもなしに次々と超絶技巧を繰り出してきます。
ナスノさん
鬼怒さんもナスノさんもさっきのユルい「太陽と戦慄」とは打って変わって、気合入りまくりでした。
鬼怒さん 髪を切って雰囲気一変。でもステージ衣装はいつもどおり
なおヨッシー本人より、新曲「J」は、「ジャクソン」のJだそうで、このジャクソンとはマイケル・ジャクソンのことで、黒人音楽を是巨人流変拍子で解釈した曲、という、よくわからないコメントも入りました。
そういえばこの「J」という曲は確かに、ちょっとメロディックでしたね。

最後にアンコールで、津山のおっさんがニセ指揮者で登場(この日は津山さんはニセばっかりだ)し、是巨人+高円寺百景のオールスター(除・山本響子さん)でクラシックメドレー。一曲あたり5秒程度で、立て続けににクラシックの名フレーズを数珠繋ぎに繋げていくという超バカ企画。
なお山本響子さんは翌日オーディションだったらしく、百景(やっぱり本来は百景がトリだよな)が一番最初に出てきた理由もそのあたりかな。
山本さんがこのワケワカラン世界から、一晩で蘇生できて、ちゃんとオーディションがうまくいったのかどうかがちょっと気になりました。

高円寺百景に関してはライヴをほとんどやらないバンドであり、レコ発ライヴが引越しのゴタゴタで行けなかったため諦めていたんですが、いやー見られてよかった。

次は今週末、ツチノコレーベル主催でポチャカイテ・マルコる*しろうのジョイントです。
変拍子万歳!

急遽、10日と11日が連休となったので、新世界BRIDGEまで出向いていきました。
高円寺百景、是巨人、ルインズ波止場の3バンドによる対バン(?)、ドラムはイベント名にあるとおり、すべてヨッシーです。
open18:30 start19:00。ほぼ定刻にスタートして、終わったのは23時前。殆ど4時間近く。途中。バンドの交代時間にそれぞれ5分かそこらの休憩はありましたが、文字通り「吉田達也ドラム叩きっぱなし」でした。。

高円寺百景
最初に出てきたのはいきなり高円寺百景。当然トリだと思ってたのに、いきなりかよ!
百景の新作『ANGHERR SHISSPA』からの楽曲をメインにしたステージ構成、たまに旧曲も交えつつでしたが、とにかく今の高円寺百景は、メンバー坂元健吾(bass)の言葉を借りると、

新メンバーに3人の女性を迎え、ビジュアルは華やか、サウンドは強獣!踊れる変拍子バンドとなった新生高円寺百景!!
まさにそのとおりで、かつてのマグマ系な暗黒風味はとてつもなく薄れて、ものすごく陽性に振った音とビジュアル。特に新作からの曲でその傾向が顕著に出ていたようで。
先日のエントリ「クロス」に、恐れ多くも今回のデヴィッド・クロス来日公演の公式blogからTBが入ったのですが、それについてさらに恐れ多くも反論をば。
「2004.8 ライブレビューリンク」について 「クロスが付いていけなかった」ワケでないと思われます。昨年のEraライブのゲスト出演では高速バトルをやってましたから。
・・・いや、スピードの話しではないんです。
確かに是巨人は2曲目(人によってはライヴをアンコール含め全5曲とし、問題の曲を3曲目としている)で、かなりのスピードをみせてくれましたが、クロスが「速度についていきかねた」とは、私は一言も書いていません。
「ちょっと違うと思って静観した」のか「この勢いで1時間やったらもたん」と思ったのか、はたまた他の理由なのかは不明ですが。
「ちょっと違うと思って静観した」「この勢いで1時間やったらもたん」・・・どちらにせよ、そういった状況こそが(クロスが是巨人に)ついていきかねる状況、ということだと思うんですが。
いずれにしても「素晴らしかったEraとのライブのフルヴァージョン」を企画した主催者の目論見違いでしたね。残念。
翌日のピアニストとのコラボは評判上々のようですし、わざわざ広島くんだりから上京してまで見に行った自分としても、まぁ「残念」というほどに落胆させるようなライヴではなかったと思いますよ。
件の一曲にしても、クロスの音楽的適性というか特性を目の当たりにできた、っていう意味では大変貴重な体験ができたわけですし。
敢えて言うなら、翌日が見られなかったのが個人的には「残念」ですが。
石神井公園で髪を切った後、吉祥寺へもどり、ちょっくら時間つぶしをしたあと、三越裏のSPCへ。
今回の上京の最大の目的、デヴィッド・クロスの公演です。

以前のエントリにも書きましたが、クロスの昨年の来日時、ERAとのセッションでは、あのERAの壺井鬼怒の両氏を手加減なしの本気モードに突入させたとのことでしたので、今回の是巨人とのセッションには大いに期待する一方で、個人的にはこの手の音楽ではもうクロスは終わってるんじゃないのかという危惧もありました。
結果としては、どうも思ったとおりというか、曲によってはクロスが是巨人のハイテンションについて行きかね、クロスのヴァイオリンが澱んでしまうという場面が見られました。

ほぼ定刻に開演。まずは(先日のよしこさん&カーンのZAO組と同様に)是巨人の三人がステージに登場。
今回はセカンドアルバムの「ARABESQUE」からの曲を中心とした曲構成でしたが、アルバムで聞きなれた楽曲群が、むちゃくちゃ成長しているのに驚かされます。まさに現在進行形のユニットとはこういうのを言うんでしょう。
途中、「太陽と戦慄Part2」もやりましたが、ヨッシーのコメントによると、クロスと一緒にやるつもりだったがクロスが乗り気じゃないということで、せっかくだから、んじゃ三人でやろうか、ということだったようです。
鬼怒さんは「はぁ・・・緊張しますね・・・なんか『天覧試合』みたい」というコメントで笑いをとりつつ、ちゃんと座ってレスポールを弾くというフリップ翁スタイルでした。うーんクロス、絡んでほしかったなあ。というかいくら手数が多いこの三人でもやっぱり三人じゃ寂しいよなぁ。
という訳で、戦慄Part2に新曲も交えつつ、是巨人の演奏だけでゆうに一時間を超えており、クロス出現までのインターバルの時点でかなりの満腹感。果たしてこれだけのユニットに対して、クロスがどう立ち向かうんだろうか。

いよいよ後半開始。ポセイドン関係者の猫blogなどを読んでも、インプロ「主体」というより、どうも今回は正真正銘のインプロ「オンリー」のステージのようですが、はてさて。
一曲目はクロスのvlnが紡ぐフレーズを中心として、やや穏やか目な展開。鬼怒さんはとりあえずクロスの出方を見つつ、若干引いていたという感じでしょうか。
問題の二曲目。クロスのvlnから曲が展開していくのは一曲目と同様でしたが、それを受ける是巨人組が暴力的なまでの展開を見せ、クロスがそれについていけない場面が多々見られました。このあたりが現在のクロスの限界でもあり、古いファンとしては『Red』でクリムゾンをクビになり、『USA』ではエディ・ジョブソンの音に差し替えられた理由が垣間見えた気がしました。クロスが老いたというより、彼の体質が、この手のロックバンド形態でのインプロと合っていないとみるのが正しいのかも。
ヨッシーがマイクをセッティングし始めたのを見て、「ヲイヲイまさかクロスとのセッションでもヨッシー語か?」と思ってたら、ほんとに歌い始めたよw。
それにしても、鬼怒さんの速いパッセージとヨッシーのヨッシー語ヴォイスを聞きながら、クロスが考え込み、結局入れないという繰り返し(実際はそう何回もなかったんでしょうが)、その度にクロスがうんざりした表情を浮かべていたのが印象的でした。さしずめ、いじめられっこクロスが校庭の隅に呼び出され、腕っぷしの強い三人に囲まれて、一対三でボコられているというような状態とでも言いますか。

気を取り直しての三曲目。
さすがに是巨人もこれじゃマズイと思ったのか、若干穏やかなアンサンブルで是巨人が受け皿を作り、そこにクロスを招き入れる感じで曲が展開していきます。
ここでは前の曲と打って変わり、クロスのvlnが徐々に豊かなメロディを繰り出して来て、その美しさにあてられたのか、是巨人も暴力に走ることなく、最後までクロスの持ち味を十分に活かす方向の演奏に終始。
これ、二曲目で明らかにクロスが脱落してたから、その反省を踏まえて?三曲目ではこういう展開になったけど、なまじ二曲目でクロスが中途半端に是巨人について行ってたら、三曲目はさらにその方向がエスカレートして収集がつかなくなっていた可能性もあり、そういう意味では二曲目あっての三曲目だったかなあ、と思いました。

と、まあ美しい終わり方で一旦本編は終了。その後アンコールでは、「太陽と戦慄Part2」を拒絶したクロスへのあてつけで(ってこたぁないか)再び鬼怒さんがフリップ翁スタイルでレスポールを手に登場。有機的で攻撃的なな二曲目、穏やかでメロディアスな三曲目のどちらとも違う、機械的・メカニカルで若干ハード目な感じの曲展開でした。

全体としては期待通りのライヴでしたが、前半の是巨人のライヴを見るだけでも十分価値があったことを考えると、はるばる広島から足を運んだ甲斐もあったと言っていいかと思いました。
ただ、やはり他の人のレポートなどを読んでも、翌日のピアニストとのセッションの方が評判がいいんですよね。去年のERAもアコースティックユニットですし、やはりクロスにはバンド形式はあってないのかも。そう考えると、翌日を見られなかったのは残念。

それにしても交通費はともかく、チケット代は安い。安すぎですね、これじゃ。うん、総合的にはそういった部分も含め、満足。

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eiji の徒然ライブ雑記
re:CC
~猫とヴァイオリンと~Fiddler’s muttering
David Cross 2005.8 来日

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