フラガール

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少なくとも今までに公開された今年の日本映画の中では、個人的な最高傑作と言いきれます。

フラガール
監督は李相日(り・さんいる)。故・今村昌平が設立した日本映画学校の卒業生であり、卒業制作の作品がPFFのグランプリを獲得、という、この種の娯楽商業映画を手がける若手としては微妙な経歴の持ち主。
この人の映画は『スクラップ・ヘブン』しか見ていませんでしたが、これが、出ている俳優達は、気鋭の映画作家による作家性の強い映画に出演することで自らのフィルモグラフィにバリューを得ようとし、一方の監督は監督で、加瀬亮・オダジョー・栗山千明といった決して万人受けはしないアクの強い個性派若手俳優たちを多くキャスティングすることで、映画そのもののエキセントリックさを加速する、という、今世紀のミニシアター系邦画にありがちな、なんとも独善的な(そしてあまりおもしろくない)映画だったというイメージしかありません。
そんな監督が、ここまでに見事な純娯楽映画を作るとは。正直、見くびってましたすいません。

俳優陣、特に蒼井優と松雪泰子がいいです。
蒼井はもう日本の若手女優の中では頭一つ抜けていると言える存在ですが、この作品でも見事な仕事をしています。
以前、「宮崎あおい・香椎由宇・堀北真希・沢尻エリカ」の四人を、この年代層のトップ4みたいな感じで書きましたが、考えてみたら(子役出身の宮崎は別として)蒼井はキャリアが長いとはいえ、この四人と同じ年代だということに今更ながら気がつきましたが・・・それにしても蒼井を含めた五人の出演作の公開ラッシュですなあ。
松雪泰子は、彼女のいままでのパブリック・イメージとちょっとズレた役をやっているんですが、粗暴だけど人情味溢れるはぐれ先生役を、これも見事にこなしていました。彼女の表情に、何度か涙が・・・
松雪泰子
でも、俳優陣に頼っただけの作品ではなく、何よりも脚本の構成というかドラマの組み立てが見事。
脚本は監督とは別の、ベテランシナリオライターだろ、と思ったら、ラストのクレジットを見たら(共同執筆ではありますが)監督が書いているんで、またびっくり。
ストーリーの大筋は、石炭から石油への産業構造の変節に伴い斜陽化が著しい常磐炭田が、炭鉱から出る温泉を利用して、『常磐ハワイアンセンター』を設立する、って書くと、『プロジェクトX』みたいなんですが(実際、そういう方向で見ても楽しいんですが)、決して「実話の持つ重み」だけに頼ったものではなく、きっちり作劇された、見事な娯楽作です。

「フラダンス」のイメージというか、なんでも、フラダンス、というのは正しい表現ではなく、「フラ」という言葉そのものに「ダンス」の意味合いが含まれており、単に「フラ」と言うのが正しいんだそうですが、スティールギターののんびりした音にあわせて手をゆらゆらさせながら腰をゆっくり左右に振って踊るものをイメージしていていましたが、そんな先入観が、序盤に松雪泰子が見せるダンスで打ち砕かれます。
そして映画的に最も盛り上がる、ラスト、竣工なった常磐ハワイアンセンターの晴れ舞台で、フラガールたちが踊るフラ。
そこに到るまでに周到に張り巡らされた、ガールズ一人ひとりの背後にあったドラマ。そのいろんなドラマを見てきているからこそ、ラストでフラの群舞を魅せるフラガール一人ひとりに限りない思い入れを感じ、エモーショナルかつパーカッシヴなサウンドの高鳴りと爆発的なダンスに、強いカタルシスを感じることができたんですね。
一人ひとりのダンサーたちが織り成す群舞、それぞれの背中に背負ったそれぞれのドラマが織り成す、まさにシンフォニックに構築された脚本の構成は、見事としか言いようがありません。

俺の周囲では、昨年、『オールウェイズ 三丁目の夕日』を劇場で見損ねていて、その後の好評に慌ててDVDになってから見て「映画館で見ればよかった」と後悔した人が結構います。
まずはそいつらに、
「また後悔したくなければ、今のうちに『フラガール』見とけって。あ、念のためハンカチ忘れないでね」
と言って回る日々が続いています。

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タグ : 日本映画 フラガール 李相日 松雪泰子 蒼井優

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